C-LOG | 100年の視座にたった生き方やプロジェクトを紹介するメディア

facebook twitter

【イベントレポート】IGES COP25報告セミナーに参加しました!

野本 洸太朗
学生ライター(中央大学3年生)

2020年01月27日

イベントレポート環境問題

こんにちは!学生ライターの野本です。

12月23日にIGES(地球環境戦略研究機関)主催、COP25報告セミナー「新たなベンチマーク -1.5℃・2050・ネットゼロ」に参加してきました。

ニュースなどでもCOP25の話題を耳にした方は多いのではないでしょうか。

今回で25回目となるCOP25はスペインのマドリードで12月2日~15日に開催され、史上最長のCOPになりました。

報告セミナーでは「COP25のハイライト」「COP25に参加したステークホルダー対談」「IPCC特別報告の解説」「国際交渉の結果」がトピックとして取り上げられました。この記事では、COPに関する知識をほとんど持っていなかった僕が報告セミナーを通して特に学びになった点をお届けします!

COPとは

COPとは「締約国会議」の略で、しばしば「国連気候変動枠組条約締約国会議」を指します。

大気中の温室効果ガス(二酸化炭素・メタンなど)の削減を目標にしており、1995年のCOP1ベルリン会議から1年に1度のペースで開催されています。過去には日本でも開催され(COP3京都会議)、温室効果ガス排出量の削減目標を初めて取り決めた京都議定書が採択されました。

このようにCOPでは、その期間中に締約国間で専門家を含めた交渉を行い、例えば「温室効果ガスの濃度を何年以内に〇〇%削減する」といった枠組みが策定されています。

COP25のキーワード①「パリ協定第6条」

COP25最大の焦点として、COP24で積み残した課題である「パリ協定第6条実施ルールの構築」があります。パリ協定とは、2020年以降の気候変動問題に焦点を当てた枠組みで、COP21パリ会議で妥結されました。

パリ協定の第6条では「市場メカニズム」について書かれています。ここで述べる市場メカニズムとは、温室効果ガスを排出する権利の取引を国内外で行うことを指します。

つまり、温室効果ガスを排出する権利を国家間でトレードすることができるのです。

具体的には従来の排出量と比べて削減できた分(これをクレジットと呼びます)を他国と売買することができます。

パリ協定が策定されるまでは「ベースライン&クレジット方式(※1)」などが主流の方法で、パリ協定ではこれをどのように引き継ぐのか、そしてクレジットのダブルカウント(※2)防止に関する調整が主な論点でした。

交渉の2日目より各国の代表レベルで議論が始まり、その後、専門家レベルでも交渉が開始。作業は連日深夜まで行われ、交渉テキストは何度も更新されました。

しかし2日間の延長を含めた14日間の交渉の結果、今回のCOPでは第6条の実施ルールの妥結には至りませんでした。その背景には先進国と途上国の対立やブラジルとEU諸国の対立などがあり、次のCOPへ持ち越す結果に。

※1 ベースライン&クレジット方式

ベースライン&クレジット方式とは、ある国が温室効果ガスを削減する取り組みを行った場合、その取り組みがなかったときと比べて排出削減量をクレジットとして他国と売買することができる方式。

※2 ダブルカウント

国家間でクレジット売買をした際に、買った国側と売った国側の両国間で相当調整をせず、排出量を2重で計上してしまうこと。全体の排出量は減ったように見えるが、実際の排出量は減っていない。

ダブルカウントを防止するためには、両国間で相当調整する必要がある(クレジットを売った側は「資産」であるクレジットを失った分上乗せして計上する)。

実際の議論では多くの国はこの相当調整を適用することに賛成を示したが、ブラジルはこれに反対する結果となった。そのため、まだクレジットを「いつ・どこで・どうやって」調整するのかはこれから決まると予測される。

COP25のキーワード②「野心度引き上げ」

今回のCOP25のもう一つのキーワードとして「野心度引き上げ」があります。

パリ協定第4条3項には「各国が現在の目標を超える『前進』を示し、できるだけ高い野心を反映する目標を再提出する」と書かれており、各国がもっと野心的になって目標を再設定するべきだと呼びかけ合っていました。

そして、COP25では「気候野心同盟(CAA)」にこれまで121か国、15州・地域、398都市、786企業が賛同したと発表されました。日本からも東京都、長野県、丸井グループ、小野製薬工業など多くの都市や企業が賛同をしています。

気候野心同盟には2050年までに二酸化炭素排出実質ゼロ目標(=1.5℃目標)が盛り込まれています。1.5℃目標とは、将来の気温上昇を1.5℃に留める目標です。

もし今後何も対策がされない場合、2100年頃には5℃~6℃の気温上昇が予測されています。

従って1.5℃目標を達成するためにはより早急な変革が必要であり、世界ではこれを「野心度を引き上げる」という言葉を使って表現しているのです。

世界から見た日本

COP25では190か国の人々が参加しましたが、世界から日本はどのように見られているのでしょうか。

日本は先進国の中で唯一、石炭火力の増設を進めています。世界で石炭中毒を克服しなければならない!と呼びかけられている中で、日本のこの施策には批判が集まっています。

既に化石燃料に深く依存しており、また、原子力発電を推進しづらい日本の状況を考えると、様々な方向からの働きかけが必要になると考えられています。

また、COP25で日本はどのような役割を担ったのでしょうか。

今回のセミナーに特別来賓として主席した小泉環境大臣はこのように述べています。

「今回のCOPで私は妥結には至らなかったものの、日本にとっては大きな成果があったCOPだと思います。パリ協定第6条の膠着状態を打開するきっかけになったのは日本です。2日間の延長が決まった瞬間を私は今でも覚えております。COP開催中にブランルのサレス大臣、グテーレス事務総長、チリのシュミット議長の間を駆け巡り、36回の二国間会談を行ったからこそ最後の二日間の延長が生まれたと思います。」(原文一部省略)

表には現れていませんが、日本は第6条に関する議論で橋渡しのような役割をしたことが推測できます。

まとめ

  • COPとは「締約国会議」の略で、温室効果ガスの削減について意思決定する会議を指すことが多い
  • COP25の最大の焦点は温室効果ガスを排出する権利の実施ルールの妥結だったが、いくつかの意見対立があり、妥結には至らなかった
  • より野心的に温室効果ガス削減に取り組むことを試みる「気候野心同盟」にはすでに多くの国や地域、企業が賛同をしている
  • 先進国で唯一石炭火力の増設を進めている日本は世界から批判的な目で見られている

おわりに

今回参加したIGES主催COP25報告セミナーではかなり専門的な言葉も登場しており、参加するまで「COP=環境について話し合う会議」としか認知していなかった僕は、正直ついていけない部分もありました。でも、それ以上に新しい知識をたくさん身につけることができた場だったと思います。

また、COPでは首脳レベルや専門家の人々だけでなく、企業・市町村・団体など様々な人々も参加をしています。個人的には各国の代表だけでなく、様々なアクターを交えたイベントとして大変興味深いです。

環境活動家のグレタ・トゥーンベリさんはCOP25で注目を集めた1人ではないでしょうか。彼女のような存在がCOPの存在を広めているのは事実かもしれません。

ちなみに、次回のCOP26はイギリスのグラスゴーで行われることが決まりました(2020年11月9日~11月19日)。僕は第6条がどのような方向に傾くのかとても気になっています。COP終了後には報告会も多く開催されることが推測されるため、気になる方は要チェックです!

今後も興味が沸いたイベントには積極的に参加していきたいと思います。気に入って頂けましたら記事のシェアお願い致します!

この記事を書いたライター

野本洸太朗

株式会社ecommit
学生ライター(中央大学3年生)

野本洸太朗

1998年山梨県生まれ。父親の仕事の影響で小さい頃から転勤を繰り返して育ってきた。高校は愛知県。現在は東京で学生生活を送っている。大学2年生まで学生団体に所属して、海外インターンシップの運営をしていた。自分自身もインドネシアで6週間インターンをし、モリンガという植物を広める活動をしていた。モリンガこそ最強の植物だと思っている。

top