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モノの適正な循環をつくる~業界の変化とチャンス~

川野輝之
代表取締役社長

2019年05月23日

リユースの時代

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ecommitの川野です。

今日は少し真面目な話をしようと思います。僕たちが身を置く静脈産業※の話です。

専門的な部分も多いので、なるべくわかりやすくお話したいと思います。

※静脈産業・・・いわゆる“ゴミ”、産業廃棄物などの回収と再利用をはかる産業。

製造業など製品を供給する産業を「動脈」に例え、その製品のリユース・リサイクルや処分などの過程を「静脈」に見立てている。

世の中の大事件

突然ですが、現在日本における、いや世界におけると言っても過言ではないかな。

廃棄物を取り巻く環境に大きな変化が求められています。

僕たちのような静脈業界に携わる人でなければあまり知られていないことなのですが、

日本やアメリカといった、先進国で発生した廃棄物の一部分、特に廃プラスチックや古紙、小型の使用済み家電製品などの多くが国内で処理されずに、中国へ輸出されていました。

その数量は日本からだけでも実に年間143万t(2017年プラスチックのみ)と言われています。

なんとここ1~2年の間、その殆どが中国側の輸入規制とバーゼル条約という国際法の厳格化により、

その大半(使用済み家電製品、プラスチックは殆どすべて)の輸出がストップし、大混乱に陥っているのです。

その影響と課題

  • 処理のキャパオーバー

今まで年間143万t以上も輸出していたものを急遽国内で処理しなければならなくなった訳ですから、当然処理場のキャパシティが足りません。

慌てて処理能力を高めようと工場の拡大を図っている企業も多くありますが、

急に拡大できるようなものでもありませんので、日本全国のスクラップ業者さんのヤード(保管場)で山のように高く積まれたスクラップが見られます。

特に使用済み家電製品は、ファンヒーターの残油やガスコンロ、バッテリーなど火災につながるリスクのあるものも多く、その危険性が高まっています。

実際に、年に数回、それが原因で火災事故が発生し、一度発火するとなかなか消えないため、大きな環境汚染につながっています。

  • 資源の需給バランスが合わない

もう一つの問題として、処理された後の資源に引き取り手がいないということがあります。

専門的すぎるので詳細は割愛しますが、処理場に集められた使用済み家電やプラスチックは様々な技術を使って資源を取り除くのですが、金属を除くその資源(プラスチック)の大半は国内での需要がありません。

きれいに素材ごとに分けるのが難しいため再資源化が難しく、サーマルリサイクルといって燃料として燃やされているのが現実です。

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しかも,急激に物量が増えた影響で、その受け入れ先もキャパを越えてしまい、処理場で処理がされた後でも引き取り手が足りないという状況に陥っているのです。

仮に素材ごとにわけられたとしても、メーカーは殆ど海外に生産工場を移転していますし、

バージン材(原油から作られたいわゆる新品の原料)に比べて、低品質の再生資源を使うメーカーもまだまだ少ないのが現状です。

排出者の責任

ある意味、日本は今まで自国で出た廃棄物を中国へ押し付けていたとも言えます。

(経済成長目覚ましかった中国が国策で世界から資源を集めていたという見方もあるのですが。)

創業当時、中国へ視察に行った際に目にした、資源という名の大量のスクラップの山。

粉塵が舞う劣悪な労働環境の中で働く女性、子供。

金属を取り除くために使用される薬品が体に悪影響を及ぼすものであるにも関わらず、使用済みのものがその辺に平然と散布される様子。

もう10年ほどまえの話ですが、当時日本国内では、それを『エコ』だと言って一般家庭からトラックで集め、スクラップ業者さんに販売して生計を立てている人が多くいました。

でもその中に中国に送られた後を知っている人は殆どいなかったように思います。(もちろん僕もこの目で見るまでは知りませんでした。)

だれがどう見ても環境負荷が甚だしく、これが日本から持ち込まれたものが原因だと思うと、

とても『エコ』だとは思えず、強い違和感となんとも言えない悲しい気持ちを持ったのを覚えています。

そして、その違和感はある意味、当社の方向性を示すものにもなりました。

現在陥っている状況はなるべくしてなったと思います。

本来、排出国として、排出者として役目を終えたその先まで責任をもつべきで、今の状況はある意味ちゃんと責任を果たすための適正化に向かっていると考えています。

我々の企業使命とチャンス

大きな課題を乗り越えなければならない今、業界として、ある意味国として、大きな変化を求められています。

法律も労働環境も生活スタイルも…。大げさな話ではありません。

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今こそ、エコミットが企業使命として掲げる「世の中に適正な循環」『持続可能なビジネス』で創るときです。

課題が大きい業界だからこそ、テクノロジー化が遅れている業界だからこそ、そのチャンスは大きいと思います。

最後に

あらゆるモノはいつか必ずその役目を終えます。

モノを作るのと同じだけ、役目を一旦終えた後に適正な循環を作ることが重要ではないでしょうか?

『モノを作る』『モノを循環させる』は対等ですよね。

皆さんもぜひ、モノを買うとき、モノを手放すとき、『その先』のことを考えてみてください。

またお会いしましょう。

この記事を書いたライター

川野輝之

代表取締役社長

川野輝之

1984年大阪府生まれ。中高6年間スケートボードに明け暮れ、一時は某スポーツ店のチームライダーとして活動するも、耳の病気を発症し引退。高校卒業後は建設機械や家電の輸出業者に就職し、4年間の修業期間を経て22歳の年にecommitを創業。現在は代表取締役として経営をリードしつつ新規事業開発チームを直轄。日置市の海沿いに住み、釣りやキャンプなどの鹿児島暮らしを楽しんでいる。

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