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なぜ循環産業はチャンスに溢れた業界といえるのか?

川野輝之
株式会社ecommit 代表取締役社長

2019年11月18日

静脈産業の可能性静脈産業を変える

今日は循環産業がいかにチャンスに溢れている業界なのかをどうしても皆さんに紹介したく、ポイントを書き出してみました。

市場規模と環境

産業廃棄物処理業の推定市場規模

実は循環産業の市場はとっても大きいのです。

リユースだけでいうと約2兆円(2017年)、リサイクル等の再生資源、中間処理、及び収集運搬廃棄物処理業の市場規模は約12兆円となっており合計14兆円と言われています。
コンビニエンスストアの市場が11兆円、スーパー13兆円と比較すると、どれだけ大きい市場なのかが伝わると思います。
また、アジア、アフリカ全体でのリユース・リサイクルに関してはなんと約140兆円(2015年)!国際的かつ潜在的な市場も考えると、もはや未知数。

これだけでも人生かけて取り組むだけの価値があると、僕はとてもワクワクしてしまうのです。

また、市場が大きいだけではなく、小売り業界や流通業界に比べ、まだまだ成長、変革の予知が大きいのもチャンスを感じる理由です。


その背景には、関連法である廃掃法に伴う許可制度があります。特に一般廃棄物に関しては許可発行の権限を各自治体が持っており、新規発行を行わないエリアがあるなど、業者間での競争原理が働かないことが原因でイノベーションが生まれにくい体質になっているのも事実です。


ある意味そのおかげでこれだけ大きく、未発達な市場になっているし、まだまだ潜在的な市場が成長していく余地が大きな環境が出来ているわけですが。
とにかく、個人的には宇宙産業に匹敵するほど、意義とやりがいがあるのでは?と感じています。

時代の流れ

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SDGsというゴール

近年、産業界に限らずとても話題になっているのが2030年までに達成すべき持続可能な開発目標、SDGsです。
これは2015年9月に国際会議・サミットで採択されたものですが、元々は2000年に採択されたMDGs(MillenniumDevelopmentGoalsミレニアム開発目標)の後継版です。

MDGsは主に発展途上国を対象にしていましたが、SDGsの対象はより広いものになっています。先進国も含めて、時代の流れとともに社会経済のグローバリズムに取り残されてしまった人々が抱える問題に対しても、より具体的な解決目標と言えます。

ミレニアム(Millennium)のMが、サスティナブル(Sustainable)のSに変わったことで、環境(社会価値)と経済(経済価値)の両面で貢献することが重要で、なおかつそれを目標として定量的に実行度合いをウォッチすることで持続可能性が確保されるという、目指すべき理想が国際基準的に明示されていると感じています。

さらに、『誰一人取り残さない(No one will be left behind)』というSDGsの理念が示すよう、より多くの人に共通する普遍性の高い目標として、必ず一つは身近に感じられるようになっていることも、とても馴染みやすく社会全体に広まりつつある理由ではないでしょうか。

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今までは少し遠い世界だった循環産業も、SDGs目標のゴール12『つくる責任、使う責任』、持続可能な消費と生産のパターンを確保する、というわかりやすく時代にあった言葉で循環型社会形成の目標が示されたことで、この2年くらいの間に一気に環境問題に対する教育も含めた啓蒙や、SDGsに合わせて自分ごととして目標設定する企業活動が広がっています。

またメディアの後押しも大きいですね。特に最近注目されているのは海洋プラスチック問題ですが、大気汚染の問題などに比べて目に見えやすく誰からも共感を得やすい問題であることが周知に繋がっています。

しかし、ここで気をつけなければいけないのは、単に海洋プラスチック問題といっても、実はあらゆる問題が相関的に絡み合っているということ。
まわりに流されるように参加した活動などで表面的、単発的な行動で満足してしまうのではなく、問題の起きている背景を深堀した結果見えてきた根本的な原因にリーチし、継続的にPDCAを回す必要性があります。


SDGsのようなわかりやすい国際基準にある意味「のっかりつつ」、メディアの力もうまく利用する。ただし、絶対にその行動自体が偽善的や表面的ではなく、本当に行動が伴っていること。
それが、この『時代の流れ』をチャンスに変える上でとても重要なことだと考えています。

未整備のルール

変革期にある廃掃法(正式名:廃棄物の処理及び清掃に関する法律 清掃法(昭和二十九年法律第七十二号)。繰り返しになりますが、特に一般廃棄物に関しては許可がなかなか取れない自治体も多く、高い参入障壁となっています。新規参入はほぼ無理と言ってもいいエリアも全国に多々存在し、そのようなエリアでは完全に競争の原理が働きません。

誰かがやらないといけない仕事だから、その仕事をやってくれる人たちを守らなければならないという歴史的背景の延長線上に今の状況があり、ある意味その当時はエコシステムを構築する過程では正解だったのだと思います。

ただ、現代においてはかえってそれが足かせになりかえって危機的状況を招いてしまっているところもあるのです。

許可業者の高齢化、人手不足問題、都市部への人口集中、などなどあらゆる問題で行政サービスが成り立たなくなり、結果的に違法業者が増えてしまっているエリアも実際にあります。この部分についてもいつかじっくり説明したいのですが、ここだけで長編になってしまうのは間違いないので本日は割愛したいと思います。

とにかく、時代の変化に順応するためには法律も含めたルールの見直しと整備が必須です。そうすることで循環産業界は大きく変革し、さらにここにテクノロジーの力が加わることで効率化を図り、結果的に適正な競争と劇的なイノベーションが生まれる可能性があると信じています。

規制を強化しつつ、ある部分では逆に緩和してリユース・リサイクルなどの環境活動を「推進する」あたらな法律をつくり、その成功体験を国際社会に公表することが、モノづくりニッポンで高度成長を遂げた日本国のあらたな使命ではないでしょうか?

エコミットも日本を代表する循環産業企業の一社として、現実的かつクリティカルな効果をもたらすアイデアでルール整備に貢献したいと考えています。

課題の大きさ

いつの時代でも課題を解決する過程でイノベーションが生まれ、世の中は進化してきました。その課題が大きければ大きいほど世の中に与えるインパクトも大きいものです。

あらゆる課題を解決するために技術革新を繰り返し、急成長した結果、人々の生活はとても便利になりましたが、この100年で平均気温が0.82℃上昇しました。さらに代償として温室効果ガスの濃度は40%も濃くなりました。この課題はとてつもなく大きい。しかも問題が目に見えにくいため、危機感を感じにくいのが厄介なところです。

今起きている問題を解決するというよりは、将来、環境災害など、何も起こらないように保つことが必要です。なんとなく環境に悪いとは知りつつも行動せずただ何となく時間を過ごし、500年後に取り返しのつかない何かが起きてから後悔しても遅いのです。

地球温暖化と温室効果ガス濃度の関連自体を疑問視するかたもいますが、濃度があがることは悪いことというのは誰もがわかっている。ならばやれること、やるべきことを最大限やるべきではないでしょうか?

先人の努力のたまものである、現代の便利な生活。

そこから沢山の恩恵を受け、命の危機などこれっぽっちも感じない我々こそが循環型社会形成を次の成長の、いや、人類の生き残りのための最重要テーマとして取り組むべきではないでしょうか?

これはチャンスとは少し異なりますが、これだけ大きな課題の解決は人生をかけて取り組むには十分すぎるほど十分なテーマだと確信しています。

おわりに

いかがでしょうか。いくつかのポイントを上げましたが、循環産業のチャンスについて多少はご理解いただけたのでは?

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きれいごとのように聞こえるかも知れませんが、この地球環境を500年後へ繋げていくため、エコミットは社会課題解決に事業で取り組みます。

当然、自分は500年後に生きていません。それでもいいのです。この自然環境が500年保たれ、その時生きている若者たちが『あの時やっとけばよかった』とならなければ。

この記事を書いたライター

川野輝之

株式会社ecommit
代表取締役社長

川野輝之

1984年大阪府生まれ。中高6年間スケートボードに明け暮れ、一時は某スポーツ店のチームライダーとして活動するも、耳の病気を発症し引退。高校卒業後は建設機械や家電の輸出業者に就職し、4年間の修業期間を経て22歳の年にecommitを創業。現在は代表取締役として経営をリードしつつ新規事業開発チームを直轄。日置市の海沿いに住み、釣りやキャンプなどの鹿児島暮らしを楽しんでいる。

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