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リユース・リサイクルだけではない、新たなモノの循環のかたち「リマーケティングビジネス」とは?

津藤央
株式会社モノファクトリー リマーケティングセンター センター長

2020年05月15日

※こちらの記事は、株式会社モノファクトリー様による特別寄稿です。

ナカダイグループが目指す廃棄物処理業

私たちを取り巻く環境は時代と共に目まぐるしく変わっていきます。

ナカダイグループは1937年に中台商店(鉄・スクラップ卸売業)として創業し、2000年には総合リサイクル業に、2008年には素材を生産する会社に、2013年には「捨てる」と「使う」を繋ぐ会社に、そして現在、ホールディングス化し、(株)ナカダイホールディングス、(株)ナカダイ、(株)モノファクトリーの3社で、循環を前提とした社会を構築する会社へと革新を続けてきました。

廃棄物処理業とは、廃棄物を処理するだけではなく、廃棄物を活かし、繋いで、再度循環させるビジネス、つまり、リマーケティングビジネスだと考えています。

リマーケティングビジネスとは、従来の「捨てる」と「使う」をつなぎ、これからの“廃棄物”に、リサイクルだけではない、クリエイティブな新しい価値を創造・提供し続けるビジネスモデルです。

循環を前提とした社会の構築

私たちは、“ 捨てる”ことを、悪だとは思っていません。もちろん、様々な製品を生み出すことも悪だとは思っていません。

しかし、それらの製品は、残念なことに、いつか役目を終え、不要になります。

世の中に存在するほとんどのモノは、最後は粉々にされるか、焼却されて灰になり、埋め立て処分場に運ばれていきます。

私たちの生活をより良くするために生み出したモノの一生は、埋め立てられるまで続いています。

製品を生み出す時も、それを捨てる時も、モノの一生の様々なシーンの中のある一瞬でしかありません。

なんとなくは理解しているこの事実に対峙した時、私たちのビジネスは、今のままで良いのでしょうか。

そこで、ナカダイグループがどのような事業を通して循環を前提とした社会の構築を行っているか、ご紹介したいと思います。

株式会社ナカダイ前橋支店・駒形工場

ナカダイグループの(株)ナカダイは、「使い方を創造し、捨て方をデザインする」をビジョンにして、リマーケティングビジネスを実践するモデル工場として、リサイクルの基礎を担っています。

また、リサイクル率99%を実現する廃棄物処分業者として、日々搬入される廃棄物のほぼすべてをリサイクルしています。

しかし、私たちの生活を支え、より良くするために生み出されているモノたちを、単なる「リサイクル」という流れに乗せることが、私たちが行うべき最善策なのでしょうか。


この人類が抱える根本的な課題を解決すべく、(株)モノファクトリーは生まれました。(株)モノファクトリーは、「循環を前提とした社会の構築」をビジョンにして、ナカダイで培った基礎を活かし、様々な企業、団体と社会の仕組みを構築しています。

モノを生み出す時と捨てる時の二点を軸に、モノの流通を含めたすべての過程をループで結び、これまで培ってきた分別・解体の技術やノウハウを使って、循環を前提とした社会の実現を目指します。

リマーケティングセンター

リマーケティングセンターは、(株)モノファクトリーが運営する、企業の備品や在庫などの管理から廃棄までを一元管理する場所です。各企業のプライベートリサイクル工場の役割を担う日本で唯一の拠点です。

これまで培ったノウハウで、廃棄物にしない為のスキームの構築や、不要になったモノの回収からリユース・リサイクルのスキームの構築及び提案も行います。

営業拠点が多い場合や、自社商品の回収、リサイクルなどを全国規模で行う場合などに最適です。

不要なモノが自由に捨てられない時代へ、そして、消費者に選ばれる企業になる為に

繰り返しになりますが、不要になったモノは、ごみ箱に捨てたら終わりではありません。その後、リサイクルされていたり、焼却処理されたり、埋め立てられたりしています。

今まで企業に求められていたのは、商品をたくさん生産・販売し、世の中の役に立つことでしたが、新製品が生み出されたり、新しい技術が開発されたりするたびに、残念ながら過去の製品は不要になってしまいます。

しかし、中国の資源ごみ輸入禁止処置以降、これまで数十年間ずっと輸出され続けてきた大量の廃棄物が処理可能な量を超えて国内に滞留しはじめています。

私たちは、このままゴミを捨て続けることが出来るのでしょうか?

近い将来“ モノが自由に捨てられない時代” になるかもしれません。

そのため、これからの企業には、自社の製品を販売する仕組みだけではなく、販売後の製品を自社の責任で回収・循環させる仕組みもセットで構築することが求められ、それが消費者に選ばれる企業の条件になります。

消費者は、購入する商品の選択の仕方と、生活スタイルそのものを、循環可能な商品であるかどうかを軸に考え直す時代になりつつあります。

リマーケティングセンターは、企業が販売した商品が不要になった際に、消費者から回収し、循環させる仕組みを一緒につくり上げる為の拠点です。

すべて企業の選択です

自社で不要になったモノ=廃棄物です。

しかし、それをゴミとして捨てるか、資源として有効利用するかは各企業が自ら選択しています。廃棄物業者の責任でも、ビルの管理会社の責任でもありません。

機密情報が含まれていても、リサイクルはできます。高いリサイクル率の実現も、廃棄物を一元管理するスキームの構築も、業務提携によるプライベートリサイクル工場(リマーケティングセンター)の運営も、循環を前提とした社会の構築を真剣に考え、取り組む企業の方々とだからこそ、パートナーとして一緒に実現できるのです。

“捨てる”情報の共有

通常、モノを生み出すとき、次に使う企業、消費者を想定して製造し、しっかりアナウンスして、使用するのに必要な情報と共に送り出します。

一方、“ 捨てる” 際には、「リサイクルして欲しい。」とか、「何か商品に使えませんか?」 とは言われますが、その廃棄物の量、素材、商品の特徴などが分からない状態では、単純にリサイクルや適正処理をするしか打つ手がありません。

圧倒的に“ 捨てる” 情報が不足しています。

“ 捨てる” 情報を事前に共有していただくと、廃棄物の可能性を広げる事が可能です。

マテリアルの可能性

廃棄物でありながら素材として魅力のあるモノを私たちは『マテリアル』と呼んでいます。

本来の用途では不要になったモノでも、別の業界では必要とされ、イベントの会場構成や店舗内装など、空間の演出において、非常に効果的なツールの一つとなります。

木製パレットの間仕切や、スキー板のカウンターテーブルや椅子など、身近でありながら、廃棄物由来の『マテリアル』を使うことで、既製品にはないストーリー性を付加できます。

モノファクトリーでは、マテリアルやマテリアルを使用した作品の展示も行っています。

『マテリアル』は、消費者にとって見たり触れたりしたことのないモノが数多くあります。

これらは「なぜいらなくなったか」「循環・流通の仕組み」「その形状である意味」等、実に多様なストーリーを持っています。

講義やワークショップを通じて次世代を担う子供達に親しんでもらいながら、「捨てることは悪いこと」という様な感情論で終わるのではなく、様々な環境問題について考え、循環を前提とした社会について考える学びの場を提供しています。

「製品を販売するだけではなく回収やリサイクルの仕組みをつくりたい」、

「循環の仕組みを構築したい」、

という企業の方は、(株)モノファクトリーまでお問い合わせ下さい。

工場見学・ワークショップ・マテリアル見学の受け入れも随時行っております。

(要予約。現在、新型コロナウイルス対策のため、受け入れ停止中です)

この記事を書いたライター

特別寄稿

特別寄稿

「未来につながる働き方」「未来をつくるプロジェクト」「未来をいきる組織づくり」についてお届けするC-LOG。ここでは様々なフィールドでご活躍されている皆様に執筆いただいた原稿を「特別寄稿」として掲載していきます。

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