川野さんと出会う
「本当ですか、川野さん!わたしも(嬉)」
人生には偶然の出会いが少なからずありますが、そういう出会いから生まれた人間関係は往々にしてかけがえのない貴重なものになることがあるものです。
株式会社ecommit代表取締役の川野さんと私は、2019年10月に京都でのSDGsに関するプロジェクトで出会いました。
突然ですが問題です、SDGsとは何でしょうか?
今ではご存知の方も多いと思いますが、SDGsは「だれ一人取り残さない」未来を目指すために掲げられた目標であり、全人類の幸福を願う世界共通の目標です。
私たちの日常でもSDGs達成に貢献できることは山ほどあり、例えば、お店で商品を選ぶ時にその商品の製造方法は環境に優しいかという観点で選ぶこともその一つです。
私たちリコーは、京都市、京大、他企業と一緒に、京都市を舞台にSDGsへの貢献を考え、具体的に行動してく取り組みとして京都 産学公SDGsプロジェクトをスタートさせました。
そのプロジェクトの会議後に行われた懇親会で、川野さんと私はたまたま隣の席になりました。
そこで初めていろいろ話をさせていただきました。
ecommit社の企業理念。
商品をどんどん生産しどんどん消費するいわゆる大量生産大量消費社会にあって、まだ使えるモノ(資源)をレスキューして、モノを「循環」させる未来・社会を目指す。
リサイクルも大切だけど、それ以上にリユースが大事。
「本当ですか、川野さん!わたしも(嬉)」
私は、コピー機メーカーのリコーで2011年以降、リユースの仕事を担当してきました。お客様が使用済みになったコピー機を回収・再生し、再生コピー機として再び新しいお客様に提供するという仕事です。
リユースで利益を目指すというのはリコー社内ではなかなか尖った仕事でしたが、私に増して尖った方がここにいました(笑)
聞けば聞くほど、ecommit社の企業理念は、リコーがこれまでずっと大切にしてきた環境経営の考え方(後述)にびっくりするほど似ていることに本当に驚き共感しました。
そして、さらに盛り上がった話がもう一つ。
ecommit社の本社は薩摩川内市にありますが、実は、薩摩川内市は私のルーツなんです。
私は現在、神奈川県茅ケ崎市に住んでおります。父の代からこの茅ケ崎におりますが、私の父方の祖父以前の先祖は代々、薩摩川内市で生まれ育っており、私にとって同市は幼少の頃から度々訪れる縁深い場所でした。
「本当ですか、川野さん!わたしも(嬉)」
私のルーツは水引というところですが、新設するECOBASEも水引町!
地元トークが盛り上がらないわけがありませんでした。
そういうわけで意気投合し交流が深まっていきました。
私の活動拠点であるリコー環境事業開発センター(静岡県御殿場市)をぜひご紹介させて下さいとご見学をお誘いし、今回の京都での交流会を後にしました。
ようこそ御殿場へ
それから、だいたい1か月後。
早速、川野さんと徳留さんが遠路はるばる御殿場までお越し下さいました。(ありがとうございました!)
お二人には3時間かけて私たちの活動拠点をとても熱心に見学していただきました。
特にリユース・リサイクルの現場では、本当に目をキラキラと輝かせながら。
「コメットサークル(後述)の思想、社員教育、人を大切にする姿勢など、自社を見つめなおす、よいきっかけにもなりました」とのありがたいコメント。
次は、私たちが鹿児島県薩摩川内市にあるecommit社を見学し勉強させていただく!と川野さんに固く約束しました。
いざ薩摩川内!
ecommit社を訪問。
川野さん、徳留さんに、リコー環境事業開発センターにお越しいただいて早8ヶ月、楽しみにしていたecommit社への訪問が、この8月ようやく実現しました。
実は、当初は3月に京都産学公SDGsプロジェクトメンバー総出で訪問を計画していましたが、コロナ禍によりやむなく延期。。。
今回、訪問メンバーを限定し感染拡大防止の対応も徹底するなどして、ようやく実現しました。
まずは、薩摩川内市役所のすぐお隣にあるecommit 本社を訪問。
社長の川野さんが、「起業して13年のベンチャー」とおっしゃっておりましたので、当たり前ではありますが、第一印象は、
皆さん若い!そして活気がすごい!
会社や事業の概要、今後の展望などを紹介いただきましたが、本当にしっかり地に足をつけてビジネスに取り組まれていると感じました。
環境ビジネスを着実かつスピーディに進められている、すごいなと。
見応えあり!「ECOBASE」&「FAN2 BAZAAR」
本社を後にし、楽しみにしていた「レスキュー品が集められた現場」を見学させて頂きました。
まずは、「ECOBASE KAGOSHIMA」。
(くどいですが)私のルーツの薩摩川内市水引町に、この9月にグランドオープンとなった拠点です。
遅ればせながら、グランドオープン本当におめでとうございます!
※私が語るより詳細はこちら
https://ecommit-kandk.com/ecommit-blog/yama20200814/
農機具、工作機、什器、陶磁器、そして石材や木材など、様々なものが集められ並べられています。
良品のオンパレード、これ全てがレスキュー品。日本あるいは世界の誰かに使われるのを待っている品々です。鹿児島県内を中心に、全国各地から集められたものだと聞いてびっくりしました。
世の中でレスキュー出来ているのは、ほんの一握りということです。無限の可能性を感じます。
「ECOBASE」が、鹿児島から全国、そして全世界に展開されることを心より期待しています。
つぎに、「FAN2 BAZAAR」
ファンファンバザール、と読むそうです。
※こちらも語るより→http://fun2bazaar.com/
鹿児島県いちき串木野市にある、リユース品の販売店舗です。正直、リユースショップだと言われないと分からない良品ばかり。西日本最大とのことですが、私はこんなに広大な売り場のリユースショップを初めて見ました。
陶磁器や洋服はもちろん、掃除機などの家電品、ギター等々、訪問したメンバーもワクワクがとまりません!
閉店時間を過ぎても、みんなうろうろ。
(京都産学公SDGsプロジェクトの主催者・京都大学の浅利先生は、サムソナイトのスーツケースをお買い上げ。)
とても楽しく、また気づきの多い時間を過ごすことができました。ご案内いただいたecommit社の皆様、本当にありがとうございました!
余談ですが、今回は薩摩川内市内のホテルに宿泊しました。ホテルの近くの料理屋で長島産の焼酎と新鮮なお刺身をいただきました。
実にうまい!私が住む関東にはない、甘いお醤油が刺身によく合う。
思わずお醤油をお土産に買って帰りました。
薩摩川内、サイコー!
リコーのご紹介
ここで、少し会社の紹介です。
みなさん、リコーという会社をご存知でしょうか?
1936年に感光紙の会社として始まり、今年2020年で創業84年が経ちました。
事務機器分野でオフィスオートメーション(OA)事業を進めて成長し、現在、グループ連結売上高が約2兆円の会社になりました。
1980年頃に生まれた方であれば誰もが一度は使ったことがあるでしょう、ファミコンやスーパーファミコンのCPUを作っていたのも実はリコーなんです。
創業者の精神にのっとり、顧客起点で考えること、地球を大事にすること、はたらくに歓びを感じることを、従業員はとても大切にしています。
リコーの環境経営とコメットサークル
リコーは、約30年ほど前から環境経営という言葉を使い活動してきました。
環境も経営も?
これは、地球環境の今の姿を守っていくことと、企業として利益をきちんと出すこと、このどちらか一方だけではなくその両方の実現を目指すことを言います。
例えば、製品を設計する時点でお客様が使い終わった後のことを想像して分解・分別し易い設計を採用し、リユースやリサイクルしやすくするですとか、製品として必要な強度を保ちつつ樹脂や板金の厚さを薄くし小型軽量化して、できるだけ少ない資源で製品を作るなど、長年続けてきました。
だから、環境に配慮することは短い目で見れば手間に見えるかもしれませんが、少し長い目で見れば必ず企業の利益に繋がります。
つまり、環境も経営も、です。
もっと言えば、環境負荷の低減は、製品の製造段階だけで考えれば良いわけではなく、その原材料や部品の製造、その製品の使用や廃棄を含んだライフサイクル全体で行わなければいけません。
私たちリコーは、こういった活動の指針となるコンセプトを作りました。
「コメットサークル」と言います。
ある製品を使い終わり、使用済みの製品からもう一度新たな製品を作るのに、どういうやり方が環境に優しいかを分かり易く表現したものです。
できるだけユーザーに近い内側のループを通る方が環境に優しく、できるだけ新たな資源やエネルギーを使わなくてよいリユースが一番内側で、リサイクルがその次です。
私が取り組んできた、お客様が使用済みになったコピー機を回収・リユースし再生機として再び世の中に提供する仕事も、このコメットサークルの思想を受け継いだものなんです。
私たちの基地、リコー環境事業開発センター
2013年頃、リコーグループ製品のリユース拠点、リサイクル拠点は日本の北から南まで全国で計12か所に分散していました。
そのため、建物・倉庫の維持や運営管理にとても高額な経費が掛かっており、これを解決することが当時の私の最大の課題でした。
周囲の人からいろいろ言われましたが、私は、2年間使われずに休眠した状態になっていたリコー御殿場工場を建物ごとリユースし、全国に分散したリユースやリサイクル拠点の機能をほぼ全て統合する一大決心をしました。
回収量が増えればいろんな組み合わせることができる中古パーツの選択が増えるので環境に優しいリユースをもっと実施しやすくなりますし、マスの効果によってこれまで必要だった様々な経費を圧縮して大幅なコストダウンになります。
これぞ環境経営。
こうして生まれたのが、現在のリコー環境事業開発センター(静岡県御殿場市)です。
分散していた拠点の統合によって、なんと年間約2万台のコピー機を再生するリユース・リサイクルセンターになりました。
おそらく世界一の規模です(見学に来られた学者さんはそう言ってくれました)。
またリユース・リサイクルだけでなく、お客様の環境経営を支援する環境商材を生み出す新規環境事業の開発を進めています。
自社技術に固執せず、様々な事業者(産官学)と連携し強みを融合させて商材を産み出すいわゆるオープンイノベーションに取り組んでいます。
この10月についに、快適で省エネできる照明・空調の制御システムを発売します。ご期待下さい。
もう一つ宣伝させていただくと、環境事業開発センターは情報発信にも全力で取り組んでいます。
リコーグループの環境活動の情報発信基地として、おかげさまで年間4000名ほどのお客様にご見学に来ていただき、好評を頂いています。
川野さんも、はるばる御殿場まで見学にお越し下さいました。
なんと元環境大臣がお越し下さったこともありました。
環境経営にご関心のある方、私たちとオープンイノベーションに挑戦してくれる方、ぜひ見学にお越し下さい。
私たちの魂が詰まっています!
(関連リンク)
株式会社リコー https://jp.ricoh.com/
リコー環境事業開発センター https://jp.ricoh.com/environment/eco_business_center
RICOH Smart MES 照明・空調制御システム https://jp.ricoh.com/release/2020/0929_1/