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入社3年目くらいには意識したい、財務諸表の読み方②

吉居大希
取締役・管理部長

2019年08月08日

決算書の読み方シリーズ経営

入社3年目くらいには意識したい、財務諸表の読み方②

皆さん、こんにちは。管理部の吉居です。

決算書の見方についての続きとして、今回は決算書の中の貸借対照表について書いていきたいと思います。

前回の記事に記載した通り、貸借対象表※は以下のような資料であり、具体例をお見せします。

※貸借対照表:期末日時点での会社の財政状態を表すもの

入社3年目くらいには意識したい、財務諸表の読み方②

1.貸借対照表の成り立ち

貸借対照表の構造のポイントは以下の2つです。

・右側の負債と純資産は資金の調達方法を示していて、左側は調達した資金が今どのような財産になっているかを表しています。

・左側の合計(186,000)と右側の合計(186,000)は必ず一致します。

2.貸借対照表に含まれる資産、負債、純資産とは?

・資産~将来お金になるもの~

資産に含まれるものは大きく分けると以下の3種類に分けられます。

①お金そのもの

②お金を受け取る権利

③お金を増やすために買ったもの

①お金そのもの:現預金

お金は財産ですよね。ただお金を持っているだけではお金を増やせないのでお金を使って他の財産を購入します。

②お金を受け取る権利:売掛金

売掛金とは商品またはサービスを提供したものの、まだ受け取っていない代金のことです。

エコミットで言うと、海外バイヤーへのコンテナ出荷や、産廃収集運搬を行った時の入金前の代金です。

③お金を増やすために買ったもの:商品、建物、機械、車両

会社は事業活動(仕入、生産、梱包、出荷)を通じて、お金を増やしていく必要があり、事業活動を行うために買ったものも資産になります。

エコミットが行う事業活動におけるお金を増やすために買ったものは以下の太字のようなものです。

RAが衣類・雑貨(商品)をトラック(車両)で回収し、倉庫(建物)で構内作業スタッフが選別し、プレス機(機械)でベールを生産し、コンテナ出荷した。

・負債 ~将来支払いが必要になるもの~

負債に含まれるものは大きく分けると以下の2種類に分けられます。

①支払い予定のもの

②将来の商品やサービス提供の義務

①支払い予定のもの:買掛金、短期借入金、長期借入金

未払になっている仕入代金を買掛金といい、設備を購入するなどのために金融機関から借りた借入金のことが短期借入金、長期借入金です。

(短期、長期は返済期限が1年以内か超かの違いです。)

エコミットでは、衣類仕入代金で翌月末支払いのもの(買掛金)、トラック購入のために銀行から借りた借入金になります。

②将来の商品やサービス提供の義務:前受金

販売する前に受け取った代金のことです。

エコミットでは新規海外バイヤーからは受け取る前金が該当します。

これは「将来支払う予定のもの」とは性質が異なりますが、「将来販売が必要となる義務」も負債の項目になります。

※もし販売する前にキャンセルとなった場合には返金が必要となるので、そういう意味では「将来支払う予定のもの」にも当てはまります。

・純資産 ~株主からの出資金と利益の蓄積~

純資産は会社運営基盤の安定性を示すものです。

資本金が、株主からの出資金です。エコミットの株主は社長のみです。

利益剰余金:会社創業からの利益の蓄積

事業活動を通じて毎年利益を出していればどんどん大きくなっていきます。

一方で赤字の方が大きいと、マイナスにもなってしまいます。

3.貸借対照表を見る時のポイント

①その資産は本当に価値がある?

資産とは「将来お金になるもの」でありますが、資産の中に将来お金にならないものが含まれている可能性があります。

例えば、販売したものの販売先からクレームがあり入金可能性の低い売掛金、破損した商品、使用していない設備などであり、不良資産といいます。

このような不良資産が多く発生する会社は無駄な支出が多かったり、問題発生後の対応に非常に手間がかかり本来売上を上げるための時間が取れなくなります。

②純資産は十分か?

純資産は会社の運営基盤の安定性を把握するための数値であるため、

0(に近い)またはマイナスではないか?純資産と比べて負債が大きすぎないか?は確認しておきましょう。

純資産がマイナスの場合を債務超過と言います。

債務超過の状況では、資産を全部換金したとしても負債支払ができない状態であり、金融機関からの融資も受けづらくなるなど、非常に危険な状況です。

例えば、資産100、負債130、純資産▲30のような時を債務超過と言い、

資産100<負債130であるため、負債130を全額支払えと求められた場合でも、資産は100しかないため返済できません。

返済できない場合、倒産してしまいます。

また、同様の理由により純資産がプラスであっても、負債が純資産に対して大きすぎるのは危険なので、純資産と負債のバランスが必要になります。

1つ誤解して欲しくないのは、負債は悪ではないということ。会社によりますが、適度な水準の負債(借入)はむしろ事業推進に必要不可欠です。

お金がたまるまでトラック買えませんといっていては新規案件もとれませんよね。。

以上、今回は貸借対照表について書いてみました。次回は損益計算書について書いていきます

この記事を書いたライター

吉居大希

株式会社ecommit
取締役 管理部長

吉居大希

1984年長崎生まれ。工学部で大学院に進学するも、公認会計士になることを決め、試験に合格。大手監査法人勤務を経て、タイにわたり日系企業向け会計事務所へ。現地責任者を経験したのち、帰国したタイミングでecommitに誘われて合流。現在は取締役管理部長を務める。元ラガーマン。普段は温厚だが、海外旅行中に社長へはたきこみを決めた話は有名である。

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