皆さん、こんにちは。管理部の吉居です。
今日は若手スタッフが決算書を読むためのポイントについて書いて欲しいと依頼されましたので、
業務改善のシリーズ化を目論んでいましたが、少しでも決算書を読む興味を持ってもらえるよう決算書について書きたいと思います。
1. 決算書とは?
決算書とは以下の4つの資料のことを言います。
①貸借対照表(B/S:Balance sheetともいいます。)
②損益計算書(P/L:Profit and Loss statementともいいます。)
③株主資本等変動計算書
④キャッシュフロー計算書
これらの決算書の中で、まず理解したいのが貸借対照表と損益計算書です。
この2つの関係性は、1年間頑張った成績表が損益計算書で、頑張った結果、財産がどうなったかを示したものが貸借対照表です。
例えると、1年間給与をやりくりして100万円貯金をし、貯金残高200万になった場合には
損益計算書では、100万円の利益が出ているよ、ということが読み取れ
貸借対照表では、預金200万円財産があるよ、ということが読み取れます。
しかし、「お金は社会の血液」や「黒字倒産(損益計算書上、利益は出ているが倒産すること)」という言葉があるのですが、企業が存続していくために最も大事なものは実は利益ではありません。お金です。
なんと、倒産する企業の約半数が直近の損益計算書上では利益が出ているそうです。
利益が出ているのに倒産する。不思議ですよね。
会社が倒産する原因のほとんどは、会社を運営するためのお金が無くなった、つまり取引先への支払い、金融機関への返済、給与の支払などができなくなったことによることが原因です。
利益が出ているのにお金がなくなる理由は、
損益計算書などを作成するための会計のルールが、売上や費用の記録を実際の資金の入金支払とは異なるタイミングで記録することを求めていることが大きな要因の1つです。
つまり、売上高を損益計算書に記録するのは、お金が入ったタイミングではなく、ものを販売した時点(請求書を発行した時点)です。
エコミットの販売先を考えると、多くの販売先の支払期日は翌月末です。
つまり7月に商品を販売した場合、支払期日は8月末となり、売上高は7月に記録されますが、入金は8月に行われます。
仮に8月に入金が行われない、9月にも入金されないとなると怖いですね。
損益計算書上、売上高は計上されているのに、お金は増えていない状況ができてしまいます。
そんな状況も明らかにしてくれるのが、キャッシュフロー計算書になります。
損益計算書は経営者の意志、キャッシュフロー計算書は真実とも言われます。
会社にとって最も大事なお金の流れを表しているキャッシュフロー計算書についても、ぜひ重要性を認識し、次回以降でお話しする決算書の具体的な見方を身に付けてみて下さい。
会計の歴史を理解するためにオススメな本
余談になりますが、決算書が作られるようになった経緯など、会計の歴史を理解するにあたって
「会計の世界史 イタリア、イギリス、アメリカ――500年の物語」(田中 靖弘 著)という本がオススメです。
複式簿記の発明、会計期間を区切った決算書の作成、損益計算書と資金の乖離、連結決算書の作成、監査制度の開始など、会計、簿記の発展を世界史の流れとともに紹介され、
読み物としても非常に面白く、会計に詳しくなくても読みやすいです。
興味のある方はぜひ読んでみてくださいね。
2. 決算書はなぜ必要なのか
では、これらの決算書はなぜ作成されるのでしょう?
決算書作成の理由は法律で定められているというのもありますが、様々な目的でエコミットの経営成績や財政状態を決算書を見て知りたいという人達がいるのです。
この人達のことをステイクホルダー(利害関係者)と言い、エコミットがステイクホルダーと良好な関係で取引を行うためにも決算書を作成する必要があります。
主なステイクホルダーと決算書の利用目的は以下の通りです。
- 会社自身:予算と実績の比較分析し対策を行うなどの内部管理目的や外部のステイクホルダーに対する説明責任を果たす
- 金融機関:貸出金(エコミットの借入金)の返済可能性の確認
- 取引先:取引先がエコミットと取引を行う場合の与信判断
- 競合他社:他社の収益性検討分析
- 投資家:エコミットの将来の成長性の判断
このように、様々なステイクホルダーがエコミットの決算書を必要としているため、エコミットは正しい決算書を作成する必要があります。
3.決算書を見れば会社のことがわかる?
決算書を見る場合、数字だけで会社を理解することはできません。
数字を見る力を身に付けるとともに、会社の定性情報を理解することがとても重要です。
定性情報とは以下のような情報で、簡単に言うと会社のことをよく知るということです。
会社の沿革
会社が現在どのステージにいるのか、創業期、事業拡大期(←エコミットはここ)、成熟期、転換期などのステージにより、決算書の数値の意味するところが異なってきます。
例えば、創業間もないスタートアップ企業で製品開発段階であるため売上が極めて少なく赤字である場合と、
市場が縮小している、担い手が減っているような業界にいて売上が下がってきているような会社の赤字では全く意味合いが変わってきます。
事業内容
エコミット内においてもリサイクルショップ(串木野店舗)、鹿児島機械事業、営業所、営業部それぞれで事業内容が異なり、数値に特徴が出ます。
例えば、
・リサイクルショップは買取による商品調達のため在庫金額が大きく、小売のため2月、8月は売上高が低くなる傾向にある。設備関係費用は商品展示用什器に関する費用が大部分を占める。
・鹿児島機械事業は販売単価に対して購入単価が高く、他の部門と比較すると原価率が高くなる。販売出来る商品を購入するため産廃費用はかからない。
などの特徴があります。
事業環境
海外販売先での輸入規制の変更、自然災害による輸入の停滞、中国の廃プラスチック輸入禁止、メルカリなどのCtoC(個人間取引)販売の拡大などの、
事業を取り巻く環境を理解しておくことが決算数値を見る上でも大事です。
これらのエコミットに関する理解が加わると決算書の数字が生きたものとなり、決算書から様々な情報を捉えることが出来るようになります。
次回以降で、具体的な決算書の中身を見ていきたいと思います。
それではまた次回。
この記事を書いたライター
株式会社ecommit
取締役 管理部長
吉居大希
1984年長崎生まれ。工学部で大学院に進学するも、公認会計士になることを決め、試験に合格。大手監査法人勤務を経て、タイにわたり日系企業向け会計事務所へ。現地責任者を経験したのち、帰国したタイミングでecommitに誘われて合流。現在は取締役管理部長を務める。元ラガーマン。普段は温厚だが、海外旅行中に社長へはたきこみを決めた話は有名である。