Circular Design Challenge 2021とは
本社がある薩摩川内市は、循環都市のデザインを実験実装する拠点の開発を進めており、第一弾プログラムとして、九州大学大学院芸術工学研究院の教員・学生に、社会人デザイナー・企業・薩摩川内市の地元参加者が、4日間のデザインチャレンジに挑みました。
課題は、廃ペットボトルと廃材を活かしたデザインのプロダクト制作です。
ecommitから参加した2名の意気込みを聞いてみましょう!
弊社からはブランド戦略部の鈴木とECOBASEリーダーの西澤、2名が参加しました。
ブログを担当しています。ブランド戦略部の鈴木涼良です。
どのような切り口でプロダクト制作するのかを、参加メンバーから吸収したいと思います!小学生の頃は図工の授業が好きだったので、久しぶりのモノづくりを楽しみにしています。
ECOBASEリーダーの西澤誠です!
普段の業務では、ECOBASEの業務全体を取りまとめており、効率を意識して働く立場にいます。プログラムのお話をいただいたとき、デザインはよくわからないので、不安と楽しみの両方が入り混じった心境でした(笑)
4日間のプログラムを振り返り
1日目 薩摩川内市内を視察
九州大学の学生さんや教員が薩摩川内市に来られ、計4か所を視察しました。
1か所目は、次世代エネルギー施策の推進や企業誘致の強化をしていく場所として開発を進めている「久見崎みらいゾーン」です。原発の開発に伴って発生した土壌を使い、土地開発を進めています。

その後は、薩摩川内市沿岸部に位置する廃校を見学しました。まだまだ使える綺麗な廃校で、もったいないように感じました。
お昼は、「浜の茶屋」で、お魚たっぷりの海鮮丼をいただきました。
とっても美味しくて、リピーターになりそうです(笑)
午後からは、弊社の自社店舗ECOBASEを視察しました。ECOBASEは、誰かが使わなくなったものを、次の方へつなぐ場所です。今回、こんにゃくの型取りに使う木枠(大正時代のもの)と、工事用看板のフレーム、焼酎ケースを、本プロジェクトに寄贈させていただきました。モノがどのように生まれ変わるのか楽しみですが、プロダクト制作経験のない私は、メンバーと連携していけるか不安でした。

お次は、1階がカフェと保育園、2階がシェアオフィス、3階がフリースタジオで、廃材を使ったリノベーションビル「HUB satsuma-sendai city」の見学を通して、インスピレーションを受けます。クリーンセンターや廃校で手に入れたものを使って、内装を作られています。たくさんのアイディアが詰まった素敵な場所です。

2日目午前
廃プラスチック活用の事例紹介として、ペットボトルキャップを活かした制作物のレクチャーを受けました。
講師は、アグリフィールズ合同会社の古川さんです。
Precious Plasticという活動で、捨てられていたペットボトルキャップを洗い、粉砕、熱で溶かしたものを型に入れて冷まし、制作物をつくります。コースターやカゴ、キーホルダーなど、カラフルなものをつくることができます。
個人的にはペットボトルキャップからできた、たい焼きのキーホルダーが好みでした!
2日目午後~4日目午前 製作期間
九州大学大学院芸術工学研究院(福岡県)の工房で、3チーム(1グループ5名程)に分かれ、制作物をつくっていきます。
Aチーム
鈴木が所属するAチームでは、九州大学教員・学生2名・建築士の5名でチームを組みました。
今ある素材を生かして日常で使えるものを作りたいと思い、「オフィス家具セット(コロナ対策あり)」を作りました。
まずは、素材のものを触ったり、切ったり、試していきます。
私は、ペットボトルはどうやったら、綺麗にオシャレに見えるのかをひたすら考え、細かく切ったり、輪切りにしたり、並べたり…と試しました。
また、コロナ対策向けのパーテーションを制作しています。
9時間かけた、わがチームの力作をお楽しみに(笑)
下の写真は焼酎ケースをカットし、椅子を作れないかと思考錯誤している様子です。
朝から晩まで、モノづくりに集中するので、体力勝負の日々でした(笑)
最終日4日目午後 チームごとに成果発表
最終日の午後は、東京のデザイン企業を審査員にお招きし、各チームが発表していきます。
私が所属するAチームでは、「オフィス家具セット(コロナ対策あり)」をお披露目しました。
基本的に、素材を見て何ができるか意見を出し合い、形にしていく流れで進めました。
1つずつご紹介します。
・デスクについて
工事現場の看板フレームとローテーブルの脚、古材、ペットボトルを使いました。
ペットボトルを組み合わせた時の安定感を生かすこと、看板フレームのオレンジがアクセントであることの2つがポイントです。
・パーテーション
コロナ対策として、パーテーションを2つ制作しました。
1つ目は、ペットボトルに光が反射したとき、綺麗に輝く特性を生かしたいと思い、輪切りに切ったペットボトルを、針金で繋げました(写真上)
2つ目は、ペットボトルキャップを生かしたカラフルなパーテーションです。
廃材を組み合わせた土台に、大量のペットボトルキャップを敷き詰め、アイロンで溶かしていきました。枠から、プラスチック部分だけを取り外すことができたらよいなと思い作りましたが時間の都合上取り外しはしませんでした。
・ディスプレイ棚
こんにゃくの木枠、焼酎ケース、廃材を切った時に余った廃材を活かしたいと思い、制作しました。
・椅子
焼酎ケースを重ねられる接続部分の特徴を生かし、高さ調整できる椅子を制作しました。
最後に余った焼酎ケースと木材でローテーブルと、ライト、ソファーを作って完成です!
Aチームは、様々な種類の家具を作り、デザイン性を重視する作品となりました。
他のグループは、私たちと異なったアプローチで制作を進めており、共有したいと思います。
Bチーム
元々のペットボトル構造に疑問を持ち、新しいペットボトルの形を提案されていました。災害時にペットボトルを組み合わせてベッドや柵にできるよう、ペットボトルを組み合わせやすい構造にすべきだという提案でした。
Cチーム
ひたすらペットボトルと向き合ったチームです。
ペットボトルの中心を熱で溶かすとかわいい形ができることを発見しました。
環境、循環への疑問を投げかけるアーティスティックな作品です。
また、カーテンレールとこんにゃくの木枠、ペットボトルで、シャンデリアが完成しました。
4日間のプログラムを終えて
ブランド戦略部 鈴木
今回のプログラムを通して、制作物やデザインを考える上で、ペットボトルは特に扱いにくい、厄介なものであると感じました。
なぜなら、ペットボトル1つ1つの形が異なるため組み合わせにくいこと、デザイン面でオシャレに見えにくいことが欠点だからです。
私は普段当たり前のものとして生活にとりいれていましたが、新構造や素材のことを学び、新しい視点を持つきっかけになりました。
当たり前にあるものに対して、疑問を持ち続けることの大切さに気づかせていただきました。貴重な学びの機会に参加させていただき感謝いたします。
ECOBASE リーダー 西澤
普段効率を重視しなければならない立場として、物を本来の用途とは全く違う用途として利活用する為に向き合う時間に最初は困惑がありました。
しかしそれも「ごみを減らすための新たな手段の創造」と捉えるととても新鮮な時間となり、日々廃棄物の中からレスキューした物達がまた「違う場所」そして「違う役割」で輝ける可能性を大いに感じました。
この貴重な体験を踏まえこれからのECOBASEのあり方や廃棄物との向き合い方を再度見つめ直したいと感じました。
今回、このプログラムでご縁のあった皆様、大変お世話になりました。
学びの機会を頂けましたことに心より感謝申し上げます。